31回100Kウオーク24

  昨年に続き、今年も100キロを歩いてきた。昨年の第30回大会でこの企画は最後ということであったが、各方面から継続の要望があり、今年から規模を縮小し継続することになったようだ。


   この大会は群馬県のJR両毛線桐生駅をスタートし、わたらせ渓谷鉄道沿いに国道122号を北上、栃木県に入り足尾、そして終着駅の間藤から日光方面に向かって国道を歩く。細尾峠手前のスタートから50km地点で折り返す往復100km、標高差700mの行程で、これを24時間内に歩き通すという長めの遠足である。


   開会式が始まり、桐生市長の挨拶や地元警察署の方の挨拶、スタッフから注意事項などを聞き、午後5時ちょうどに桐生駅前をスタートした。この日の参加者は90人くらいだろうか。


   少しの間桐生の市街地を歩き、渡良瀬渓谷沿いの道に入る。この日はどんよりとした曇り空であり、周囲を山に囲まれた道は日が暮れるのが早い。道は日光方面に向かう国道122号で、車の往来が激しい。歩道がないところが多く、すぐ脇を大型トラックが走り抜ける。


   スタートから16キロ地点で最初のチェックポイントとなるわたらせ渓谷鉄道の水沼駅に着き、ここで初めての休憩をとる。麦茶ときゅうりの塩もみがうまかった。


   225分、スタートから26q地点となる神戸(ごうど)駅近くのチェックポイントに着き、ここで2回目の休憩。去年はスタート直後から雨の中の歩きで、ここでリタイアする人が多かったが、今日は全員がこの先に進むようだ。


   2353分「袈裟丸山登山口」と書かれた案内板の前を通過する。車の通りもほとんどなくなった。時折道路わきの民家の飼い犬が激しくほえる。それもそうだろう、得体の知れない集団が赤色灯やヘッドランプをつけて、人通りのないこの時間に歩き過ぎる。車で通り過ぎる人たちは何事だろうと驚いているかもしれない。この集団がそれこそ白装束でも身にまとっていたら、すぐに警察に通報されるだろう。
   
   先ほどまであれほどにぎやかだったカエルの大合唱も聞こえない。今は合唱団にかわり、トラツグミのソリストが「ヒィーヒィー」と物寂しげに鳴き続ける。
   
   今日は去年とうって変わって満天の星空。だいぶ集団がばらけている。私は早いグループだけど今は一人で歩いている。100mほど先には赤色灯を点滅させた3人が歩き、振り返ると後ろには人は見えない。
   
   日付が変わって間もない2424分、トンネルを抜けると群馬県から栃木県日光市に入る。渓流沿いにカジカ蛙の鳴き声を今年も聞くことができた。右手に足尾ダムが見えると、すぐに足尾トンネルに入る。


   12分、道路標識には日光まで25km、足尾市街まで3kmと書かれている。次の休憩地点に近づいた。前を歩いていた3人と後続の追いついた人との小さな集団で、先ほどまで一言もしゃべらずに歩いていたが、休憩が近いとわかり、元気が出て一斉に話し始め、笑い声もでる。
   123分通洞駅に着き、ここで3回目の休憩となる。


   午前336分中間点で折り返し地点に着いた。細尾峠まであと3kmの地点だ。あとは来た道を戻る。もう進むことはないと思うと、少し元気が出る。この付近の気温は4度とかなり冷え込んだ。


   午前4時、東の空が少しずつ少しずつ白み始める。足のあちこちにまめができているようでだいぶ痛む。ときおり猛烈な睡魔に襲われる。明るくなり、周りの山々が見渡せるようになる。渡良瀬川沿いの道は両岸から足尾の山が迫ってくる。清涼な渡良瀬川と山の美しさ、ここは足尾銅山の鉱毒で禿山となったあの足尾山塊の一部だ。明るさを増し、野鳥があちこちで鳴き始め、アンサンブルを奏でる。ミソサザイ、ホオジロ、ヤマガラ、シジュウカラ、ウグイスなど、近くでコジュケイがけたたましく鳴く。暗闇の中でしばらく聞こえていたトラツグミは今は静かだ。
   523分庚申山登山口入口を通過。
   730分袈裟丸山登山口入口を通過。今日の予想最高温度は30度を超す真夏日。気温がぐんぐん上がり、Tシャツ1枚でも汗が噴出してくる。


   824分草木ダム近くのドライブインで休憩。ここは9時に開店だが、駐車場にはもうだいぶ車が集まっている。今日はすばらしい天気で、行楽客がたくさん押しかけているようだ。

   15時35分スタッフや先着の人たちの拍手に迎えられ感激のゴールとなった。今回の大会も昨年同様、スタッフの方々に支えられた素晴らしい大会で、運営に携わって頂いた人たちや、参加者の方々にお礼申し上げます。
 

 国道122号に常設の折り返し点の標識