2002奥久慈トレイルアドベンチャーラン

 今年も5月25,26日の2日間にわたり行われた「2002奥久慈トレイルアドベンチャーラン」に参加した。昨年と同様水戸の登山用品店「ナムチェバザール」を午前10時にスタートした参加者は、国道118号線を北上、瓜連町、大宮町、山方町から大子町に入り袋田の滝をチェックし、月寄山に登り、初日のゴールとなる月寄温泉めざして、約60Kmを走り、歩く。今回も昨年とほぼ同様の28人が各地から参加している。
 
  今年も暑い。汗が噴き出しTシャッがたちまち汗でぐしゃぐしゃになる。最初のエイドでたっぷり水分を補給し、ついでにビールも早々と補給してしまった。昨年驚いたがこのエイドにはビールが置いてあり、好き者としてはどうしても手が出てしまうのである。
 
  今年も初日12ヶ所、2日目14ヶ所のチェックポイントが設けられているが、今回は主催者の遊び心で那珂川の渡渉がルートに加えられた。スタート後40Km近くを走り、川の渡渉となった。今年は走り込み不足のせいか、かなり足に疲労を感じる。靴を履いたまま川を渡るか、それとも靴を脱ぎ裸足で川を渡るか迷ったが結局靴を脱いで川に入った。渡り始めると川底には藻がついた石がごろごろし、すごく滑りやすい。滑らないように足裏に神経を集中し、しっかり石をとらえられるように足を緊張する。このときに軽く足が攣る。水深は膝上ぐらいで水流は場所により結構早いところもある。足下を鮎がすり抜ける。火照った足に適度な水温が心地よいがなにせ滑る。やはりここは靴を履いたまま渡渉すべきであった。川からあがると少しの間は両足を冷湿布したようで火照りも和らぎ心地よく走ることができた。

   次のチェックポイントはまたこれも企画者の遊び心であろう、老舗である地酒の酒蔵となっていた。ここでは大吟醸酒や吟醸酒などの1升瓶が並べられており試飲できるのである。元来意地汚い私はこういうのにはすぐ飛びつく。コップにつがれた大吟醸を飲む。旨いなあ、このままここでひっくり返っていたいな、と思うがそうはいかない。ここで十分な栄養を補給し、酒蔵の奥さんやエイドの人たちに別れを告げ、再び走り出す。

   昨年とほぼ同じ午後5時を少し回った頃、袋田の滝に着いた。周りを山で囲まれているためこの時間になると薄暗くなり、観光客も帰り閑散としている。コースはここから吊り橋を渡り、月寄山への急な階段の登りとなる。快調に階段を登ったが山頂近くで痙攣の兆候を感じた。まずい、と思った瞬間、足が攣ってしまった。激痛で階段に倒れ込んでしまう。足の指先を反らせようとしているうちに、もう片方の足も攣ってしまい、あまりの痛さに悲鳴をあげた。しばらく階段に倒れ込んだまま、痛みが和らぐのを待ったが、そのうちに後続の人が来た。彼に足の指先を反り返してもらう。少し痛みが和らぐが立ち上がろうとすると再び強烈な痛みが走る。しばらくすると後続の女性が来た。彼女に足の筋肉痛を和らげるという薬をもらい飲むが、痛めた足はすぐには良くならない。制限時間も近づいてくる。もう大丈夫かと起きあがろうとすると、再び激痛が走る。こういうことを何度か繰り返し、やっと立ち上がることができた。しばらくは痙攣を心配しながら慎重に歩く。しかし月寄神社の展望台のところでまた片足が攣ってしまった。両足に疲労が蓄積されているのだろう。すごく敏感になっている。粉末のクエン酸を水で流し込むが効果は感じられない。それでも足を気遣いながら歩き通し、制限時間ぎりぎりにゴールの月居温泉に着いた。

ミーティングまで30分ぐらいだがとにかく風呂に入って、汗を流し、ふくらはぎのマッサージをしたい。しかし靴をぬぐにも軽い痙攣が走る。やっとの思いで靴を脱ぎ、温泉に直行。食事の時間も気にせず両足にマッサージを加えた。食事も始まっていたがまだミーティングは行われていない。まだ到着してない人がいて、月寄山で動けなくなったと携帯に連絡が入ったようだ。企画者がヘッドランプを装着し、迎えに行くと宿を出ていった。

   2日目は早朝の4時起床、4時30分のスタートとなる。今日はスタート後すぐ山に入り、奥久慈の山中20Kmをさまよい、水府村の竜神峡に出て、里美村、大宮町、瓜連町から水戸に戻る。

   宿で作ってもらったおにぎりを各自リュックに詰めスタートした。奥久慈のトレイルは昨年と同じルートをたどる。スタート後しばらくは登山コースではなく、ほとんど人の入らないところで時折ヤブこぎもあり、植林された杉や檜の林もあれば人の手入れのされていない自然のままの広葉樹の林もある。昨日の痙攣の後の筋肉痛もあり、今日は走ることなく、全て早歩きで歩いた。

途中から男女3人で行動を共にした。女性は自身の定年後に旦那さんの影響で走り始めたが、元来は山歩きが好きという60代半ばくらいの人で、昨日あれだけの距離を走り、月寄山の急坂を登り時間内にゴールし、そのうえ今日これだけのきついコースを歩いている。この挑戦心は何とも感心するばかりである。一見しただけではとてもそのようには見えず、どこにでもいるような人なのである。そんな彼女もかなり疲れていたのであろう、がんばって竜神峡の淵まで来たが、ここで座り込んでこの先は行ってくれと言う。行動を共にしたもう一人の男性もかなり疲れているようだった。彼らは歩けるだけ歩いて後はバスと電車を乗り継いで水戸に戻るという。

   竜神峡からは道路の走りとなる。ゆっくり走りながら水戸を目指すが歩くことも多くなった。それでも大宮、瓜連と水戸も近づいた。途中何人かに抜かれ、制限時間も迫り、もう時間内は無理かな、と考えそれでもいいかと考え始めた。大宮で一人の女性に抜かれたが、速度は遅いながらもマイペースで止まることなく走り続ける彼女を見て、もう少しがんばってみようと再び走り始めた。瓜連に入り水戸もだいぶ近づいた。そのまま止まることなく走り続け、制限時間の10分前にゴールすることができた。

   今年は初日に両足の痙攣というアクシデントにあい、それ以降は終始、足の痛みが感じられ、再び痙攣するのではないかという不安がつきまとった。この足の攣りの原因は、暑さのための発汗により水分を頻繁に補給したが、塩分が不足したためと、やはり行動中のアルコールは控えるべきだった。それでもいつもこういうレースでは苦しいほどゴール後の充実感があり、今回も楽しい思い出の得られたアドベンチャーランであった。