日本の白砂青松百選にも選定されている村松海岸は、なだらかな砂丘と、防風、防砂林として
植栽されたクロマツの林が、調和の取れたコントラストを見せている。

砂浜を歩いていると、この松林の中に日本の先端技術の一つである原子力関係の施設が建てられていることが、不思議に思える。
             
日本の原子力発電所発祥の地、東海村には、よく知られた
お寺と神社が、並ぶように建てられている。

ここは、真言宗のお寺、村松虚空蔵尊 (むらまつこくぞうそん)
仁王門。
  虚空蔵尊の本堂。
  虚空蔵尊とは菩薩の一つで、東海村のホームページによると、
  日本国内には名高い虚空蔵菩薩が三体あり、村松虚空蔵尊も
  そのひとつ、という。 
かつては皇室の氏神とされ、伊勢神宮を分社したという大神宮。
 
  日本の白砂青松100選にも選定されている村松海岸。
  ここまでは車が入れるようで、四輪駆動車のタイヤの跡が、
  多数見られた。   
松林を二分する防火帯。
ここには車は入ることはできず、海浜植物が守られている。
両側には、バリケードで囲まれた原子力関係の施設がある。
  海岸に出た。
  北は日立港方面。
  東京ガスの巨大なLNGタンクが見える。       
南は常陸那珂火力発電所方面で、排気塔が目に付く。    白砂青松に選定された村松海岸とは、防風防砂林であるクロマ
  ツの林の中に原子力施設が建つ一帯を指すのだろう。
  しかし、砂浜には海釣をする四駆が入り込み、漂流物などが多く
  白砂には程遠いような感じ。
  一般の人の出入りが少ない環境にあり、砂浜は掃除などが行き
  届いてないように見える。

  砂浜の中に異様なものが見えたので、行ってみた。
  ここには大きな流木があり、流れ着いたものや人の手で置かれ
  たようなものが、集積していた。
村松海岸から南に向かうと、隣のひたちなか市に、「国営ひたち海浜公園」がある。
ここでは、茨城県のレッドデーターブックに記載され、絶滅危惧種に指定されているオオウメガサソウを見ることができる。
公園内に設けられた特別保護区では、期間限定でガイドによるツアーが開かれ、この時期だけは特別にオオウメガサソウを見ることができる。

以前は、村松海岸の松林の中でもオオウメガサソウが見られたようだが、今は見ることができない。
環境の変化や、盗掘などが原因なのか。

しかし今日は、オオウメガサソウと同じ仲間のイチヤクソウを見ることができた。
花は既に終わっていたが、狭い分布域の中でがんばっていた。 
  松林の中には、海浜植物のハマゴウがたくさん咲いている。
  砂地の上を這うように枝を伸ばすが、草ではなく木。 
なにやら人目を引く真っ赤な実は、名前も恐ろしいドクウツギ(毒空木)。    始めは赤い実も、熟すと黒紫色に変わる。
  有毒成分を含み、人が食べると死に至ることもある。
  トリカブト、ドクゼリとともに日本三大毒草と言われている。 
砂地の中に咲くオオマツヨイグサは、黄色い花が目に付く。
この花は、月見草と呼ばれるほうが多い。 
  同じ仲間のコマツヨイグサは、黄色い花が咲き終えてしぼむと、
  赤色に変わる。
  国立環境研究所では、コマツヨイグサを要注意外来生物として、
  抜き取りによる駆除を薦めている。 
砂地ではコウボウムギが群生していた。    砂地に咲くハマニガナ。
  他のニガナの仲間と比べ、葉に特徴がある。 
村松海岸
       東海村  (2015-07-08)