これは不動石と呼ばれるが、案内板によると「黒前神社の祭神が浜降りの時、神輿の休み場所であったと言われる」と書かれている。 大きな一枚岩の上には、不動明王像が祀られている。 |
烏帽子石 (えぼしいし) は、「八幡太郎義家が竪破山の神霊に参拝した時、かぶっていた烏帽子に似ていたことから名がついた」とのこと。 |
竪破山は、今から1億年以上前の、中生代白亜紀前期に形成された花こう岩でできている。 前述の、不動石や烏帽子石など、竪破山には名前が付けられた巨石、巨岩がたくさんあるが、このように名前が付けられていない大きな石も、周りにはゴロゴロしている。 |
ここは炭焼き跡。 今は崩壊が進み、全体像がはっきりしないが、昭和25年ころまで使っていた炭焼き窯で「あかめやき窯」と呼ばれていた。 あかめやきとは、備長炭で知られる白炭のこと。 バーベキューなどに使われ、ホームセンターなどで売られているのは黒炭。 |
巨石を見ながら参道を進むと、弁天池がある。 その先には鳥居が建てられ、仁王門が見える。 仁王門とは、その呼び名の通り仏教の守護神の一つ、仁王像が置かれるお寺の門のこと。 ここ黒前神社には神仏習合の考えから、日本の神様を祀る神社に、仏像である仁王像が置かれていた。しかし、明治新政府の神仏分離政策によって、神と仏は分けられた。 |
仁王門から続く石段を登ると、ツゲの木が数本見られる。 県内山地を歩くと、イヌツゲはよく見るが、ツゲ(ホンツゲ)は見たことはない。ツゲは西日本の暖地でよく見られる植物。 なぜここにホンツゲがあるのか、高萩市の植物研究者の話では、「かつてツゲの木は竪破山のシンボルだった。男性はツゲを耳飾りに、女性は髪飾りにして差しているといると、一年間頭が痛くならないと伝えられ、昔の人はお参りした証拠として枝を切って持ち帰った。これが原因でツゲがなくなった」という。 ここにあるホンツゲは、ここを管理する人によって植えられたものだろうか。 |
釈迦堂のある広場には、ここにも大きな石がある。 舟の形をしているといわれる舟石 (ふないし) の先には、大きな甲石 (かぶといし) 。この石は中をくりぬいて祠が置かれ、その中に薬師如来像が祀られている。 |
広場から石段を登ると、黒前神社の拝殿に突き当たる。 この拝殿の後ろに、石造りの本殿がある。 |
二等三角点の設置された、竪破山山頂。 ここには展望台があり、南側は展望が開け、高鈴山や神峰山など日立アルプスの峰々を連ねているのが見える。 |
山頂付近には、ブナ林が広がる。 東北以南の太平洋側では珍しいブナの原生林。 |
竪破山の名前の由来ともなったと言われる、太刀割石 (たちわりいし) 。 八幡太郎義家が奥州征伐に向かう時、太刀を一振りすると真二つに割れた、という伝説がある。 太刀割石は、割れた面とそれ以外の丸みを帯びた面が見られる。 花こう岩は、節理と呼ばれる割れ目が入ることが知られている。 二つに割れた平面は節理、そして丸みを帯びた面は風化によるものではないか、と地質の専門家は話している。 |
太刀割石から1.4キロの距離にある奈々久良 (ななくら) の滝で、不動滝とも呼ばれる。 竪破山周囲には、奇石や滝があることが知られており、七奇石三瀑と呼ばれているが、この奈々久良の滝も三瀑の一つに数えられる。 |