茨城のヤブ山歩き (No.34)  愛宕山(477.2m)  

2万5千分の1地形図「常陸大沢」 久慈郡大子町 平成18年2月5日

大子町と常陸大宮市山方との境界近くに位置する愛宕山を歩く。地形図を見るとアクセス道路から南に林道が通じており、ここから登ろうと考えた。この林道沿いには栃原鉱山という金山があり、どういうところか覗いてみたいという興味もあった。

国道118号を走り、大子町頃藤地区で県道32号大子美和線に入る。大沢川と平行してつくられた沢沿いの道路をしばらく走り、栃原地区に入り左折すると、休止中と書かれたドライブインらしきものがあり、ここの駐車場に車を止めた。後でわかったことだが、栃原鉱山は近年観光金山として営業していたが、最近閉山になったとのこと。このドライブインらしきところは金山観光客からの入山料徴収とみやげ物販売、食堂を兼ねた店舗であった。閉山後はこの店も閉じられたままのようである。辺りを見回すと、山とその斜面に点在する民家、茶畑などが広がり、典型的な山村風景を醸し出している。ここから約2kmの林道歩きとなる。

11時15分歩き始める。林道の舗装はすぐに砂利道に変わる。小型の4輪駆動車なら難なく走れるだろう。日陰には雪が残り所々凍結している。やがて道の両側に金山観光客相手の建物と思われるものが現れた。簡素な建物で朽ち始めているが、これは「わんがけ」と呼ばれ、鉱山から採掘した岩石を粉砕し、水の中に沈められたものを、観光客がお椀のような容器ですくい取り、金を探し当てるというお遊びの場所である。そこから少し進むと閉山となり今は使われていない鉱山施設がある。愛宕山への取り付き点は市町の境界線上と考えていた。最短距離で山頂に至ると共に、こういう境界上に道がつくられていることが多いからである。またこの場所は林道がヘアピン状のカーブとなっており見逃すことはないだろう。道は大きく曲がり始める。「ここから山方町」の標識がある。取り付き点となる尾根も沢もスギの人工林の中で、急斜面の尾根ではなく、沢を歩くことを選択した。水は流れていないが明確な沢で、スギの葉や枝が厚く堆積しており、踏み跡はないが迷うことなく歩ける。すぐに右手の尾根に乗り、12時12分山頂に着いた。山頂には三等三角点が設置され、ヒノキに愛宕山と書かれた木札が取り付けられていた。周囲はヒノキの人工林の中で展望はない。ほとんど汗をかくことのない今回のヤブ山であった。

栃原鉱山入口林道 鉱山施設
林道脇に祀られた金山神 林道をまたぐスギの倒木
山頂取り付き点 愛宕山山頂