茨城のヤブ山歩き (No.50)  片倉山(193m)  

2万5千分の1地形図「野口」 常陸大宮市 平成19年4月21日

栃木県との県境に位置する片倉山に登る。地形図を見ると道路から山頂近くを通り、栃木県茂木町まで道が通じている。茨城県との県境となる稜線の鞍部からすぐに山頂に行き着きそうだ。


 前山線から御前山橋を渡りすぐに右折、那珂川沿いに造られた県道212号赤沢茂木線を西に走る。御前山、岩戸地区に入り、片倉山方面への分岐となる道脇に馬頭観音像が置かれ、ここに駐車スペースがあり車を止めた。


 102分歩き始める。舗装道路の脇にはヒメオドリコソウやタチツボスミレなどたくさんの野の花が咲いている。すぐに片倉山方面の道は西に分かれ、民家の方向に向かう。ここも道脇にはレンゲソウやフデリンドウが咲く。民家の前から脇に回ると、今は使われていないらしく雑草の生えた田んぼがあり、カエルの合唱が聞こえる。裏山に通じる道を歩いていると、田んぼの雑草の中からタヌキがあわてて逃げていった。ここから尾根を探し、前方の山に入る。これを登りきると鞍部に行き着き左に曲がると山頂に行き着くだろう。シデ類の樹木が多い落葉広葉樹林の美林を歩く。多くの木々は芽吹き始めている。樹木を見たり植物を観察したり、ゆっくりと美林を楽しみながらの歩きとなる。


 1155分稜線に出た。ここを南に曲がるとすぐに右側が急斜面のやせ尾根となる。その尾根もヤブでふさがり、左手のスギの人工林の急斜面を巻くように登るとすぐに山頂に行き着いた。この山には三角点は設けられていない。片倉山と書かれた木札などが数ヶ所、立ち木に取り付けられており、周囲は樹林に囲まれ展望はない。


 明日の日曜日は市町村選挙の投票日で、街宣車が「最後のお願い」、「最後のお願い」を連呼しながら走り回っている。集落に近く標高の低いこの山では、山頂にいると選挙カーのウグイス嬢の声があちこちから聞こえる。野山でさえずるウグイスは心地よいが、こちらのウグイスは騒音にしか聞こえない。


 またこの日はすぐ近くの茂木町にある「ツインリンクもてぎ」という自動車レース場で行われた「インディジャパン300マイル」と銘打ったF1レースの決勝日だった。片倉山からの下山中は、それこそ山全体に響き渡るエンジン音の中、ワラビを採りながら歩いた。

片倉山山頂