茨城のヤブ山歩き(No.92)  高谷地山(788.3m)  

2万5千分の1地形図「里美牧場」  常陸太田市 平成23年8月18日

 県道245号上君田小妻線を常陸太田から高萩方面に向かい、市境界となる道路脇に車を止める。地形図を見ると県道から市境界に沿って、高谷地山ピーク付近を通る尾根道が点線で示されている。

115分、どこかに道があるはずと考え尾根の取り付きを探すが、それらしい踏み跡はない。ヤブに分け入り、尾根に乗る。シデやヤマザクラ、コナラなどの落葉広葉樹二次林の植生は林床に光が入り、見通しが利いて気持ちのよい歩き。尾根を外れる斜面にはヒノキやスギの人工林で、植生がはっきりと変化しており、この植生だけを見て歩いても尾根を外さずに歩けるかも知れない。時折、アズマネザサが多くなってくるが、道をふさいだり、視界がなくなるということは無い。セミがいきなりの闖入者に驚き、突然飛び出し、体にぶつかったり、地面に落ちたりしてバタバタしている。

1116分、734mのピークに着いた。ここまで踏み跡はないが、先人がつけたのであろう赤い布が時々立ち木につけられている。ここから幾つかの小ピークを通り、高谷地山に向かう。尾根沿いの広葉樹の下は光が入り、林床植物は多いが、潅木が少なく歩きやすい。しかし時々アズマネザサが道をふさぐ。ここは尾根を外し、人工林の斜面をトラバース気味に歩く。ヒノキの人工林は手入れがされてないため光が入らず、林床植物は無く歩きやすい。暖温帯と冷温帯植物の混成するこの標高では、ブナとイヌブナが隣り合わせに生育しているのが見られる。朝晩にはうるさいほどの鳴き声だろうが、この時間帯はセミの声がぜんぜん聞こえない。先ほどまでガビチョウとキビタキがにぎやかに鳴いていたが、今は静寂のアズマネザサをかき分けて歩く自分の足音だけが聞こえる。山頂近くになるとアズマネザサが濃くなったが、かまわず強行突破した。

1147分、高谷地山山頂に着いた。山頂には三等三角点が設置され、立ち木に高谷地山と書かれた木札が取り付けられている。周りは背丈ぐらいの高さのアズマネザサが茂り、人工林と広葉樹林で展望はない。

 
 
市境界尾根の左から入る 笹ヤブを歩く
アズマネザサが道をふさぐ 高谷地山山頂