茨城のヤブ山歩き (No.29)  大室山(274.9m)  

2万5千分の1地形図「大子」 久慈郡大子町 平成17年6月5日

  この大室山は地形図を見ると歩けそうな尾根が東西と南から発生している。南側には明確な尾根が見え、その尾根に乗るかと最初は考えたが、安易に距離が短い東側から入ることを選択した。

国道118号から八溝山方面への道へ入り、1kmほど走り、左折し八溝川を渡る。すぐ山道に入ると、林道らしき道が左右に分かれ、ここに車を止めた。ここは道路から250mくらい入ったところで、走る車の音がよく聞こえる。地図を見ると西側に大室山の山頂がある。

10時50分、尾根に乗るべく左手の道を歩く。緑の色濃いこの時期、葉の白くなったマタタビが目につく。また、ヤブデマリの純白の装飾花が緑の中から浮かび上がる。そういえばここへ来る途中、日立の諏訪梅林付近の沢では、ジャケツイバラの黄色い花があちこちに目についた。

すぐに尾根にのる。尾根は明瞭でさほどの傾斜はない。林床には灌木が茂り、踏み跡は見られない。尾根歩きはヤブこぎとなったが、すぐに再び明瞭な尾根になり、かすかに踏み跡が現れる。突然バラバラと音がして空を見上げると、雨が降り出していた。ここへ来る車中から見た空には、遠くに真夏のような積乱雲が発生していたが、青空が広がり素晴らしい天気だった。しかし、わずかの間に空は黒い雲に覆われていた。道は高木性樹木の樹冠が広がり、ほとんど濡れることはない。途中、ここでも純白の花が目についた。ヤマボウシだ。樹林の中で薄暗い所ではあるが、その清楚な白さは何とも言えず優しい気分にさせてくれ、少しの間見入ってしまう。

地図には現れない小ピークを2つ通り、最後に尾根はヤセ尾根となり、そのピークが山頂となる。11時56分大室山に着いた。山頂西側にはシデ、コナラ、ヤマザクラなどの落葉広葉樹林であるが、他はスギの人工林で覆われ、展望はない。三等三角点の設置された山頂には、黄色く塗られた木片に大室山と書かれ、立木に取り付けられていた。三角点の近くには、ここにも白いナルコユリの花が咲いていた。

林道右側の尾根から入る 大室山山頂

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