茨城のヤブ山歩き(No.2) 大白峰 (360m) 

2万5千分の1地形図「町屋」  日立市宮田町  平成14年4月29日

  日立駅近辺の高いビルの上から山の方を見ると、高鈴山の電波塔と神峰山の間に、円錐形でピラミダルな山容の格好のよい山が見える。1/2万5000の地形図で調べてみると日鉱金属の西に位置し、四方に稜線を張り巡らしている山、これが大白峰(たいはくほう)である。地形図には「大白峰」と山名のみ書かれており、三角点や標石など無く標高も書かれていない。

  日立市役所前を通り県道に入り本山方面に向かう。車は日鉱金属鞄立工場(旧日立鉱山)に近づくと前方に樹林で覆われ、傾斜の急な大白峰が現れる。あらかじめ地形図で登れそうな尾根を確認しておいたが、東側は精錬所の敷地内、北側は崖になっており、南には山頂から大きな尾根が派生して道路に達しているが、道路沿いはフェンスが張り巡らされており、適当な登り口が見つかるかどうか。これがだめなら道路を少し進み、右折して細い道に入る。そのまま北に向かうと集落らしきものがあり、この辺から尾根に乗ろうと考えていたが、結局南からは適当な登り口が見つからず、細い道へ右折した。集落と考えていた場所は工業団地で、いくつかの工場が建てられていた。車を最奥の事務所の手前に止め、そこから小さな尾根に乗る。

  11時20分登山開始。登り口が特定できないので、少々不安がある。シャガ、ムラサキケマン、ミミガタテンナンショウ、スミレなどの野草、それにリョウブ、ヤマボウシ、サカキなどの樹木が見られる。山菜やキノコなど採れそうな山ではなく、山菜シーズンのこの時期でも人の入った形跡はない。尾根に乗り歩いていたら前方に見え隠れしていた大白峰の山頂が少しずつ右手寄りになりはじめ、おかしいと思いつつも歩き続けたら、前方に大煙突が現れた。かつては東洋一を誇っていた大煙突なので、当然地形図に表記はあると考えていたが、日立鉱山の大煙突は地形図には書かれていない。樹林帯の中微妙な支尾根が見分けにくく、途中2度道を間違った。明確な尾根を進むと古い石段、腐食して倒れている木製の電柱などが見られ、そのまま鉱山方面に降りてしまう。不明確な支尾根を探し右に進む。コゲラであろうか静寂の中、ドラミングが聞こえる。周囲は背丈の何倍もあるヤブツバキ。時折進行方向に木々の間から山頂が見え隠れする。もう間違いなく稜線にのった。12時35分山頂着。丸い山頂で大きなホオの木や山桜が見られるが、標識など山頂を示すものはない。周囲は樹木で覆われ、帰り道が解らない。幸いに神峰山頂と高鈴山手前のピークが確認でき、これで山座同定。コンパスを合わせ忠実にわかりづらい尾根を辿ると笹藪になり少しの間藪こぎを強いられた。
この山は読図山行としてはおもしろい山だった。1時45分登山口着。大白峰の地図を見る