茨城のヤブ山歩き(No.114)  富谷山(356m)  

2万5千分の1地形図「岩瀬」  桜川市 平成24年6月30日

  栃木県益子町との県境に近い桜川市岩瀬町に富谷山(とみやさん)がある。地形図を見ると大きな採石場が2ヶ所に見られ、この右側の採石場のある山が富谷山。しかし、三角点も標高も書かれてはいない。

「山と渓谷社」発行の「分県登山ガイド 茨城県の山」では、富谷山は標高356mで、山頂部は登山禁止と書かれている。国土地理院の基準点閲覧を見ると、かつては三等三角点があり、標高365.1mとなっているが、三角点の現況状況は不明とある。採石場により標石が亡失し、記載されなくなったのだろうか。

地形図を見ると富谷山の東に林道らしき道が走り、その道から北西方面尾根沿いに山道が、富谷山付近から北の栃木県との県境沿いにしばらくの間続いている。この道を富谷山まで歩いてみようと思う。

「林道富谷入野線」を走り、地形図に書かれた山道付近で車を停め、1127分に歩き始める。しっかりした道がすぐに見つかるだろうと考えたが、それらしい入り口は見当たらない。地形図を見てわずかな踏み跡から山に入る。尾根から外れた斜面の踏み跡は、すぐに不明となった。ヤブの急斜面を尾根に向かうが、尾根に乗ると潅木が道を塞ぎ、再び斜面に下る。かすかに踏み跡があったのでそこをトレースすると、沢に下りヤブになった。

再び尾根に向かい、尾根に乗ると踏み跡が現れ、ヤブはさほどではなくなった。尾根沿いにはヒノキが続き、境界のくいのようなものも打ち込まれている。急な斜面が続き、クモの巣が顔に張り付く。古い落葉が堆積して滑りやすいが、手がかりとなる木があり、これにつかまりながら登る。

12時ちょうど主尾根に合流すると、ここから傾斜がゆるくなった。あとは少し上って富谷山山頂だろう。

そろそろ展望が開けるはずだがオオバヤシャブシが密生している。足元からは採石場の重機の音が聞こえる。目の前に山頂と思えるピークが見えるが、前方は猛烈なヤブとなった。アズマネザサが密集し、人の踏み跡とも獣道ともわからないようなヤブに分け入る。ヤブを抜け出すと、段々になった斜面に出た。この地形は土塁のように見え、戦国時代に築城されたという富谷城の土塁だろうか。

ピークもはっきりしないまま前方に向かうが、地形がわずかな沢になると再び猛烈なヤブが進路を塞いだ。分け入る気のしないヤブで、ここで引き返した。

 
ここから入る 山頂付近のヤブ
富谷山の土塁? ここで引き返す