茨城のヤブ山歩き (No.38)  都室(450m)  

2万5千分の1地形図「高萩」 高萩市 平成18年4月25日

高萩市の花貫ダム近くにイワウチワの群生地として知る人ぞ知る山がある。地図で調べると、花貫ダム西側の中戸川地区に標高450mで三角点が設けられた山が確認できる。国土地理院のホームページで三角点情報を調べると、三等三角点都室と示されていた。地形図を見ると山頂近くを東西に道が通じている。しかし聞くところでは、イワウチワが咲く場所は花貫川を渡渉してから取り付く尾根にあるという。

 高萩の市街地から国道461号に入り、花貫ダムを過ぎると道路は南に大きく回り込む。ここに民話の地で、高萩市の観光10選に選ばれている名馬里ケ淵(なめりがふち)がある。ここは花貫川が淵になったところで、車数台分の駐車スペースが設けられている。案内板にはこの場所が名馬里ケ淵と言われるようになった由来が書かれているが、内容は日立アルプスの途中にある蛇塚の伝説と共通する大蛇の登場する物語である。今の人も昔の人も大蛇という言葉にはいろいろ空想をかき立てられるものなのかも知れない。

 12時5分歩き始める。すぐに花貫川を渡ることになるが、ここは大雨でも降ればともかく、普段は石の上をピョンピョンで対岸に渡り着き、靴を濡らすことはないだろう。よく見ると白いキクザキイチゲが咲いていた。すぐにスギ林に入り、ここを抜けると急登の尾根道となる。イワウチワが現れる。淡いピンクの可愛らしい花であるが、まだ一週間以上は早いようだ。ほとんどが咲き始めかツボミだが、尾根上に群生が続く。県北の山にはイワウチワは結構見られるが、これほどの群生は私の知る限りではない。やがて尾根は広くなりイワウチワは見られなくなるが、素晴らしい落葉広葉樹林が現れた。コナラやカエデ類に混じりイヌブナらしき木が多く目につくが、新緑の時期に来て確認しようと思う。山頂へは尾根を右に回り込む。ササが繁茂し、灌木が道をふさぐところが一部あるが、踏み跡はしっかりしている。

 12時42分三等三角点の設けられた山頂に着いた。落葉した広葉樹林に囲まれ樹林の間から360°の展望で東には太平洋も見える。林床には笹が茂り、ヤマツツジやダンコウバイなどの灌木が多く見られる。

花貫川を渡り対岸の山へ 咲き始めたイワウチワ
新緑前の樹林 都室山頂