茨城のヤブ山歩き (No.36)  長福山(496m)  

2万5千分の1地形図「大中宿」 久慈郡大子町 平成18年3月25日

奥久慈七福神の一つとして、花菖蒲などで知られる長福寺、その東側に大きな山容をもつ長福山に登る。地形図で見ると長福山山頂付近は南北に高度差の小さな尾根が続いている。山頂を取り巻く斜面には南から西、北方面に林道とほぼ並行して点線の道が書かれている。南側の滝倉から続く長福という集落には寺院があり、ここから尾根を歩き、山頂へ行けそうだと考えた。


  国道118号線頃藤地区で滝倉方面に曲がり、長福に着いた。この道はそのまま滝倉パノラマラインとして西から北方面に延びている。長福は山間の小さな集落で、道路脇に長福観世音堂と書かれた案内板があり、この近くの民家脇に車を寄せ止めさせてもらう。


  10時35分歩き始める。すぐ前に男体山がはっきりと見える。これほど近くで男体山の全貌を見たのは初めてだ。風がなく穏やかで、見渡すと満開のヤブツバキにウグイスのさえずりが聞こえ春爛漫の感。長福観世音堂方面の道へ入り、民家の脇を通る。狭い道には菜の花が咲き、カントウタンポポが見られた。またタチツボスミレ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザやツクシも見られた。子供の頃を思い出し、スイバを噛んでみる。あたりからはシジュウカラの声も聞こえ、ウグイスと共に今年初めて聞く小鳥のさえずりだ。すぐにお堂下の石段に着いた。苔むし、すり減った石段は地形図にも書かれているので、どのくらいあるのか数えたところ290段あった。歩き始めて約10分で観世音堂に着く。建立は長元2年(西暦1029年)梅観和尚によると書かれていた。お堂向かって右側の道に入る。竹の混じったスギ林だが、すぐに竹はなくなる。急な斜面をあえぎあえぎ登るが、やはり神社のある山らしく、結構歩かれているようで踏み跡ははっきりしている。ゆっくりと登りながらもわずかな時間で山頂部の尾根にたどり着いた。ヤセ尾根の一番高いピークを探して歩く。


  10時5分長福山のピークと思われるところに着いた。山頂を示すものは標石も表示板もない。ヤセ尾根の山頂で、特に西側斜面は崖のような斜面である。その斜面には広葉樹が密生しているので怖さは感じないが、樹木がなければ私にはとても近寄れない斜面だ。灌木の中にはダンコウバイが見られ、可愛らしい黄色い花が咲いていた。東側すぐ近くに奥久慈男体山、西側は八溝山などの大子の山並みが続く。


  今回の長福山は一週間前に登った雪山から一足飛びに春山を感じる里山歩きとなった。

長福山 長福山入口となる観世音堂方面への道
長福観世音堂 長福山山頂
長福集落から見る男体山