茨城のヤブ山歩き (No.37)  鷲の巣山(402m)  

2万5千分の1地形図「常陸大沢」 久慈郡大子町 平成18年3月25日

鷲の巣山(わしのすやま)は今は絶版となった茨城新聞社刊の「茨城の山と渓谷」に書かれている山であるが、地形図に山名は記されていない。地図で見ると山頂付近に至る道は3ヶ所書かれている。しかしこの山に登る人は地図には書かれていない道で、起点となる山造地区の人家前からすぐ上の畑を抜け、尾根道を歩く人がほとんどのようで「茨城の山と渓谷」にもこの道がガイドされている。私はあえて地形図に示されている道を歩いてみようと考えた。山造地区から久慈川沿いに西に向かい、水郡線にぶつかったところで、そこから沢道に入る。やがて沢道は急登となり、鷲の巣山から南に続く尾根道に登りあがる。この尾根に出ればもうすぐ上は山頂である。


  国道118号線を走り、大子町頃藤地区に入る。久慈川にかかる奥久慈橋を通過してすぐの山造バス停前で車を止め、小さな駐車スペースに車を置いた。


  12時17分歩き始める。民家の前を通り、竹林に入り、川沿いの道を歩く。進行方向にピラミダルな山容の鷲の巣山が見える。この山容は山好きな人には登高意欲をかき立てるだろう。歩き始めてすぐにミミガタテンナンショウが咲くのを見た。あまりに早すぎないか驚いた。川沿いの斜面にはダンコウバイ、林床にはタチツボスミレが咲く。この道は歩く人はいないようで、灌木やササが進路を塞ぐ。かすかな踏み後を探しながら歩きやすい所を探しながら歩く。30分ほどで水郡線の線路に行き着き、線路を横切り、久慈川と別れ沢沿いの道に入る。スギの倒木や枝が道をふさぐ。気の早いニリンソウが咲いていた。道は確認できるが灌木が生い茂り、それをくぐったりまたいだり、道があったりなかったり、沢に入ったり、ときには灌木の下を地面にはいつくばりながら歩く。もみじいちごのトゲで何度も痛い思いをした。そういう道の途中にもキクザキイチゲが咲き、ミツマタが今が盛りと咲いている。やがて沢は細くなり水音もしなくなった。ここで地図を確認、最後の急斜面を登る。この斜面に花はまだ咲いてないがニリンソウが一面に見られる。


  1時45分、尾根に出た。広葉樹の美しい樹林の中、土に戻りつつある古い倒木が目につく。山頂近くにはイワウチワが咲いていた。1時58分山頂に着いた。標石や表示板はない。

  この道は地図に示されているが人が簡単に歩けるような道ではない。しかしその分、ニリンソウやキクザキイチゲ、ミツマタやイワウチワなど貴重な野草が見られる道でもあるようだ。

鷲の巣山 水郡線を横切る
鷲の巣山山頂